逃げてもいい。命と自尊心を奪われるくらいなら。
「逃げ」 – 宮城県名取市 森田真由 13
逃げて怒られるのは 人間ぐらい
ほかの生き物たちは
本能で逃げないと
生きていけないのに
どうして人は
「逃げてはいけない」
なんて答えに たどりついたのだろう
*
13歳の女の子は、どんな状況でこの詩を書いたのだろう?
私は、「命に関わること」と「自尊心を深く傷つけられること」であれば、逃げても構わないのではないかと思う。
例えば、勉強や部活など、努力や精神力を鍛えることで乗り越えられることであれば、逃げてはいけない。それは自分が成長するための絶好のチャンスだし、自分次第でどうにかなることだから。
でも、劣悪ないじめや労働環境など、命にかかわること、自尊心をズタズタに傷つけられるようなことであれば、やるべきことをした後に、逃げればいい。“やるべきこと”というのは、状況改善を求めて少しだけ動いてみること。私は中学生の頃、いじめている側として注意を受けたことがある。でも、当時の私はいじめているのだという認識はなく、面白半分でからかっているだけだった。今思うと本当に申し訳ないことをしたのだが、特に悪気がなくやってしまっていた。こういった場合、相手に「嫌だ」という意思表示をすることで状況が改善することがある。だから、状況に応じてではあるけれど、少しだけ頑張って、それでもダメなら逃げればいいと思う。大切なものが失われる前に。
*
ほかの生き物がなぜ逃げるのか。その答えは明確。命が危機に晒されているから。
人間にとっても命は何より大事。そして、その次に大切なのは「自尊心」だと私は考えている。これがないと、生きることに意味を見いだせなくなってしまうと思うから。自尊心を奪われることは、命を無下にされていることと同義。ズタズタに踏みにじられてしまうくらいなら、その環境から逃げてもいい。というか、逃げなきゃいけない。そう思っている。
だから、「命と自尊心を奪われるくらいなら、逃げてもいいんだよ」私はそう教えたい。